どうしようもない僕に降りてきた天使




ガッシャーン…
「…っ!!あっぶねえじゃねえか!オスカー!!」
オレのすぐ真横をものすごい勢いでオスカー愛用のマクラが通り過ぎる。
ゴージャスな羽根枕だ。
オレのもとに飛んで来る途中、テーブルの上にセットしてあったフォークに当たったらしく、
愛用の羽枕がどうやら破れちまったらしい。
破れた箇所から羽根が舞い堕ちていた…


視線の先にはまさに氷のような瞳をした赤毛の男。
一度オレのほうを見てものすっげえ勢いで睨んでから、
「愛を勘違いしないで頂きたい。」
わざと堅苦しい言い方で冷たく言い放って部屋を出ていっちまった。
勢いよく締まった扉のせいで、部屋中に羽根が舞ってやがる。


…おかしい。こんなハズじゃなかったんだが…
今日は特別な日だから、アンタを祝ってやろーと遥々やってきたってのに…
何だよ、さっきまでめちゃめちゃイイムードだったじゃねえか…
あ〜〜〜!!なんかものすっげーハラたってきたぜっ

アリオスはむしゃくしゃしながら殆ど手をつけられてない、
綺麗に盛り付けされたオードブルをひとつまみ口にほうばった。
アンタだって喜んでたじゃねーか!さあ、これから乾杯ってときに…

オレはアンタを怒らせるようなことしたか…!?

そしてイライラしながらグラスの中の液体を流し込もうとした。
…とそのとき…段々とアリオスの顔色が青ざめてくる。

…した。やべ…何かアイツにひでえこと、言ったかも…

数分前の惨劇を思い浮かべながら酒を飲みほしてやろうと思ったんだが
思い当たる節があったことに気付く。

また…やっちまった…?…チッ。まいったぜ…
今まで生きてきた環境が違い過ぎるのもあり、男の意地とプライドが邪魔をして
些細なケンカがどんどんエスカレートしちまうんだ…
ついつい、アイツには言い過ぎちまうらしい…。
しかし、いつもわっかりにくいキレ方するアイツがここまであからさまなのはめずらしいぜ。
(まあ、オレはしょっちゅうキレてっけどな!)

人はだれだって触れてほしくないことの1つや2つあるもんだろ?
言っちゃいけねえ一言ってえの?
オレに比べりゃオスカーのがずっと少ねえほうだとは思うが、
オレはそのオスカーの数少ないキーワードをうっかり言っちまったらしい。

さて、どうしたもんか…
舞い堕ちた羽根をひとつ掴んで軽く弄びながら窓の外を見やる。
そしてアイツがいるであろう場所めがけて外へでた。
すると転々とちらばる白い羽根…。

…クッみつけて欲しいのバレバレだぜ?オスカー。
自然とアリオスの口元が弛んでくる。

オレは…今日はアンタとケンカするために来たんじゃねえ。
今日という大切な日をアンタと共に過ごしたかったから…。


やっぱり、ここだったか…。
オスカーの私邸からそう遠くはない場所で探してた赤毛の長身の男をみつけた。
「…おい、オスカー!…悪かった!!」
オレは大声でオスカーの後方からさけんだ。
「…そう思うなら、さっさとオレを迎えに来い!」
若干キツめのアイスブルーではあるがご機嫌はまずまずのようだ。

「オレはな…抱く、抱かれるにさして意味はないと思ってるんだ。
愛を確かめあう手段には変わりはないだろう?」
と、オスカーが話し出した。そして一息ついてから、
「お前がオレを抱きたいんだろ?だから抱かれてやってるんだ!勘違いするなよ!?」

真っ昼間っから愛だのどうのって平然と語るお前に閉口するが、
オレの言ったひとことでそこまで思いつめさせちまったと思うとすまないな、と思う。
「ああ、すまなかった。オレの言い方が悪かったぜ。」
なんだよ、アンタだっていっつも悦んでんじゃねーか…なんてことは今は絶対に言っちゃいけねえな。
「オレは…アンタを愛してるからどうしようもなく抱きたくなるんだ…」
そしてオスカーの身元で熱い言葉を吐いてやった。
こんな歯の浮くような台詞アンタじゃねえんだそうそう言えるもんじゃねえ。
…満足か?残念なことにオレはしっかりアンタに惚れちまってる。
耳元のピアスが揺れ、一瞬その燃えるような紅に耳が染まる。
「…ハッピーバースデイ、オスカー」
一度封印した情熱を呼び覚ましてくれたお前に…感謝するぜ。
今日はそんなお前が生まれた日。

「あの部屋の掃除はぜんぶオレがするから、早く部屋に戻ろうぜ。」
「…当たり前だ!」ちょっと頬を赤らめつつ、オスカーが応えた。
手っ取り早く魔導を使っちまうか…。
アリオスはオスカーの腰に回した手に力を込めグッと自分に引き寄せた。

舞い散る羽根の中アンタをベッドに押し倒したらイイかもしれねえ、
と期待に胸膨らませながら…
そして辺りに羽根をまき散らしながら長身の赤毛と銀髪の男の姿が消えた。


アンタのその赤い髪に、その黒いシャツに、揺れるたくさんの白い羽根。


君はどうしょうもないオレに舞い降りてきた天使。



〜fin〜




は〜いオスカーちゃんお誕生日企画〜♪
お相手は蟻男にもってかれちゃいました〜ハッハッハ〜!
これはあのマッキーの名曲『どうしようもない僕に天使が降りてきた』
が元ネタですが、この曲を聴く度にですね、アリオスカーズが浮かぶとです!!(><)
かっこつけてても乙女なことをしちゃうオスカーさんと、
クールぶってるけど乙女なこと言っちゃうアリオスさんですもの!(笑)
今回はちょっと包容力のある蟻男を目指してみました(^^:
せっかくのオスカーちゃんの誕生日SSですからねv
その変わりオスカーさんがちょっと子供っぽくなってしまったような…

去年はクソ忙しくてオスカーちゃん祝えなかったので今年こそは…!
と思ったはいいがしょっぱい話しか書けない自分に完敗☆

from yutaka


2005,12,21up!






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