【オスカーサイド】

しばらくその丘の上で3人でこの景色について語っていたら、随分心が楽になってきたみたいだった。
ランディは夢中になって崖の端まで行ってしまったようだ。


「あまり端まで行くなよ…!!」
「はいっ!!」


楽しそうなランディを見て、ココに来て良かったなと改めて思った。
そんな俺の隣で、ゼフェルが大人しくしているのが少し珍しい。


「なぁゼフェル…」
「なんだよ…」


ゼフェルは、下に落ちている石を拾っては投げてを繰り返ししている。
こういう所がまだ子供なんだろうな…俺に何か言いたいんだろうと思った。
俺はこれから先の事を、何となく容易に悟り…そして受け入れている。


「これからも、ランディと仲良くな…それから、ルヴァの言う事はしっかり聞くんだぞ…」
「はっ、何だよ…それ…」


つい口から勝手に言葉が出た。
こんなの感の良い奴なら別れの言葉だとわかるんだろうな…


「いいな…大人の男になりたいなら、これくらいはやらないとな…」
「それくらい……っ…」


ゼフェルは俺に背を向けてしまった。
少し肩が震えているのが分かる。
そんなゼフェルが可愛くてしょうがなかった。
後ろ向いたままのゼフェルの頭に手を乗せる。


「な、何だよっ…!!!」
「いや……立派になったな…背、少し伸びたか?」
「あっ…あたりまえだろ…いつかお前なんか追い越してやるんだからな…絶対!!!」


ゼフェルの頭を撫でてやると、更に小さくなって震える体を抑えている。


「だから…だから…いなくなったら許さねぇ〜からな……俺が抜くまでは…絶対…」
「あぁ…楽しみにしてるよ…」


我ながら、自分がこんなに酷い人間だとは思いもよらなかった。


アクセス解析 SEO/SEO対策