『憧れ』



いつからだろう…こんな風に考えるようになったのは…
憧れが…愛おしさに変わり…いつしか一人占めしたくなる…
いけない想いだと思っても…止められなくなっていたんだ…



「………い……おいっ…、ランディ野郎っ!!」
「ランディ?……大丈夫…?」


気がつくと俺を呼んでいる二人の姿が目に映る。
ゆっくりと顔を上げ、二人を交互に見た。


「ゼフェル……マルセル……?」


そう呼ばれた二人は、同じ守護聖の中でも仲の良い二人だった。
呆れた顔をしたゼフェルは俺に背を向け、向かいにあるイスに荒々しく座る。
マルセルは相変わらず心配そうな顔を俺に向けたまま、肩に置いた手をどけた。


「本当に平気?」
「昼間っから寝ぼけてるんじゃねぇ〜よ…」
「あぁ……大丈夫…」


元気のない俺に二人なりの励ましなんだろうと感じ、胸を痛めた。


そう、最近の俺は変だった…
いつでも思い浮かぶのはあの人の事ばかりで、他の事が手につかない。


「そんなに疲れてるなら、オスカー様の剣術稽古…断ったら?」


マルセルの何気ない一言に、俺の心臓が跳ねるように動いた。
オスカー様………







「はぁ………」


これから剣術の稽古をしてもらうべく、オスカー様の執務室へ向かう。
今日はオスカー様の都合により、朝の稽古が出来なかった為に昼に稽古をしてもらう事になったのだった。


「あれっ?」


いつもなら、オスカー様は準備を素早く済ませて俺を向かえ館の前で待っているのに…
館の前には人一人いない静けさを持っていた。
不思議に思いながらも扉に手をかけて、中に入るべく重い扉を開ける。


「失礼しま………っ」


俺は言葉を失った。
そこには、オスカー様ともう一人いた。
館の主ではないもう一人の男…銀色の髪のその男。


「ア……アリオス………」
「………誰だ?」
「………ランディ…!?」


オスカー様は俺を見て驚いたようだったが、アリオスと呼ばれた銀髪の男は眉一つ動かさなかった。
俺は二人に近づこうと足を動かす。


「アリオス……何でお前が…」
「何だ……あぁ……ランディか…」
「答えろっ!!」


アリオスは近づいてくる俺をマジマジと見ると、やっとの事で俺の事を思い出したらしい。
そんな所も気に食わないが、何より一番腹が立つのは……
近い!!!


「何を話していたのですか?」
「いや……ただの世間話だ……」


オスカー様に質問を投げかけると、何故か気まずそうに答えを返す。


「ただの“世間話”で……何でこんなに近くにいる必要があるんですか?」
「いや……別に意味は……」


口をごもごもさせながら話すオスカー様の横で、アリオスの目が光ったのを感じた。
いきなり俺とオスカー様の間に割り込んで来たかと思うと、事もあろうにオスカー様にベタベタし始めた。


「ただの世間話ねぇ〜……」
「な、何をする……っっ…!!!」
「っ!?…アリオスっ…オスカー様から離れろっ!!!!」


俺はオスカー様にべったりくっついて離れないアリオスに手を伸ばすが、呆気なく飛ばされてしまった。


「お子様には言えないもんなぁ〜…こんなコト」
「アリオスっ!!!」


厭らしく見えるアリオスの手の動きが、更に俺の怒りに触れてきた。
悔しくて、唇を噛む事しか出来ない自分が情けなく感じる。


「いいから、離せっ……ぅ、っん…」


一瞬何が起こったのか頭で理解する事が出来なかった。
アリオスが……オスカー様の唇を、自分の唇で………


「んっ…ふ………ヤメッ!!!」
「お子様には刺激が強すぎるんだよな………と言う事で…帰れ…」
「な、んで、お前…なんか、に……」


顔を赤くして怒っているオスカー様の目は、とても潤んで見えた。
その事実が悲しくて、言葉が上手く出てこない。
反抗したくても、目の前に広がる光景が俺の胸を刺してくる。


「邪魔だと言ってるんだ……」
「違うんだ……ランディ…」


このままココにいる事は出来なかった。
アリオスに指図された事は納得出来ない。
けど、何となく感づいてしまったんだ…………この二人は、今この場だけじゃない関係だって事を。


「ら、ランディ!!!」


オスカー様が俺を呼ぶ声を無視して、俺はこの部屋を飛び出してしまった。





「あれっ?」
「どうしたの………ゼフェル?」
「あれって………ランディ…だよな…」


さっきまで一緒にいた二人は俺を見つけると、近くまで駆け寄ってきた。


「どうしたの?…オスカー様の稽古、やっぱり断ったんだ…」
「………ああ…」
「何だ…やっぱり疲れてんのか?」


返事のない俺の顔をマルセルが覗き込んで来た。


「ゴメン………疲れてるんだ……」


そう言って俺は二人の顔を見る事もなく、その場を後にする。


「何だよ……変な奴……」


俺が走り去って行く後ろからこんな会話が聞こえたけど、振り返る事が出来なかった。








「………ランディ………泣いてたよ…」







以上、碧音ちゃんから頂きました★
アリ×オス←ランのシリアスバージョンを書いて下さいました〜v
hうっランディ切ないです…(涙)
そしてアリオスだけが幸せという…(笑)
一方僕の書いたランオス(&アリオスカー)はみごとにコメディっす〜(死)
ウラ聖地400hitキリリクのウラバージョンといったところでしょうか?♪
むしろキリリクのがウラです(泣笑)
『帰れ…』と言い放つアリオスさんにクラリですよもう!!(><)
罪な男だオスカー!!
是非続きも書いてやって下さいませっvv

碧音ちゃんの書くオス受話はすべて強奪してってるな、自分…(死)
いつもありがと〜vv
from yutaka




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