独白。
〜imitation crime〜




怒りを帯びた強い瞳が美しいとすら感じる。
レヴィアスはそんな瞳が気にいっていた。
アリオスとして敵陣に潜伏して、ミイラとりがミイラになってしまった。
クッ…笑えねえ。
我としたことが…
『我と共に来い…』と何度となく言いそうになった。
しかし、言った所で応えは出ている。
アイツが『イエス』というハズがないのだから…
お互い背負っているものが重すぎるのだ。
そう簡単に捨てられるものではない。
手放すのは惜しい男だ、オスカー…
惜しいなんてもんじゃない。
本来の目的を忘れそうになるくらいあの男にのめりこんでしまった。
深い悲しみと怒りで冷えきってしまった氷があの男の熱さで溶かされていく、そんな感じだ…
あの男の強さと優しさに心惹かれていたんだ…
これ以上アイツといたら我は自分を見失ってしまうだろう…
ここいらが潮時か…


「なあオスカーお前は…強いヤツだよな?」
「当たり前だろ?」自信のある笑み。
「ついでに色男だぜ?まあ、これもあたり前だがな」艶のある笑み。
延々と続きそうな言葉を噛み付くようなキスでふさいでやった。


アリオスが失踪する前の晩…アリオスはことさら激しく、慈しむようにオスカーを抱いた…
「愛してるぜ…どうにかなっちまうくらいに…っ」
「…っあ……ふうっ…ア、リ…オス!!…あああっ」






「我は皇帝なり…レヴィアス・ラグナ・アルヴィ−ス…」



最初からアヤシイとは想っていた…
頭の奥ではずっと警報がなっていたにもかかわらず、
聴こえない振りをしたのは紛れもなく自分。
敵である男に心奪われ、あまつさえ躯まで許してしまった…
なかなか信頼のおけるヤツだと想ってた。背中を預けられる位には…
長旅の中で何度か躯をあわせたこともある…
けしかけたのは…確かアリオスからだったか…?
フ…とオスカ−から渇いた笑みがこぼれた。
この女好きで名高い自分が男に組み敷かれたのだ。しかも合意のもと…

寝静まった夜中、一人一目につかぬよう宿屋から抜け出した。

アイツのために泣いてなんかやるものか。
忘れようとしても記憶と身体が忘れさせてくれない…
冷静な頭とは裏腹に心は感情の嵐だ。
涙とは感情をコントロールするために流すものだと誰かが言っていたな。
しかし強さを司る自分が弱さの象徴とも言える涙を流すことはゆるされない…。
オスカーはそう想っていた。
荒ぶる激情を必死におさえていたため、涙が出ないかわりに吐き気がしてきた。

「ク…っこれじゃあ生き地獄だぜ…」
おちつかない息をはきながら、オスカーはつぶやいた。

人知れず嗚咽をもらすオスカーを遠くから見守る人物がいた…




side OLIVIE




「アイツは俺が殺す―」とどめは俺がさしてやる。
これだけは譲れない―お前もそれを望んでる、そうだろ?
この扉の奥にはレヴィアスがいる。
オスカーの強い信念をもった瞳に恐怖すら感じる…
そんな中、
「止めて下さいっオスカー様!アリオスを…殺さないでッ!!」
「悪いがお嬢ちゃん、これだけは譲れないな。」
氷のような眼差しで見下ろされてはさすがのコレットも動けなかった…


レヴィアスを剣で貫いたそのときだけ…
ひとすじの涙がオスカーの頬をつたう。
無表情な顏に流れる一筋の涙が痛々しく皆が息をのむ。



やっぱり、こいつの瞳は魅力的だと思う。
泣いてくれてるのか…?オレのために…
「最後にイイもんみせてもらったぜ…」




一瞬…よく見なれたシニカルな笑みを浮かべ一言こぼした。
髪の色は漆黒で金と緑のオッドアイではあったがアレはアリオスの言葉だ。

「……!」
確かに自らとどめをさしたハズだ…。生ナマしい感触もこの手に残っている。
だけど妙に…また会える…そんな気がして…
死体でも見ればそんな願望にも似た胸騒ぎも消え失せるだろうと思っていたんだが…
崩壊した古城にアリオス…いやレヴィアスと思わしき死体はみつけることが出来なかった。
決定打を打ち付けて、堕ちる所まで堕ちたかった。
オレは…わずかな望みにでもすがってしまうから…






やっと会えたと思ったらお前は記憶喪失で…
自ら過去を語ることはプライドが邪魔してできなかった。

何度でも出会って恋すればいいんだ…そうだろ?アリオス…
そう思えるようになるまでずいぶん遠回りした気がする。

side OSCAR&ARIOS





記憶が戻ってからも、こんなに堂々と会うことはなかった。
せいぜい人目につかぬよう、約束の地で会うのが関の山だった。
まあ、突然私邸にあの便利な能力で現れたりすることはあったが…。


こうして白昼堂々、お前に会うことができるとはな…
こんな日が…来るとは思わなかったぜ、あのときは…



セレスティアの入口で、オレはアイツを…アリオスを待ってる。






Next








…続きます(汗)
リクエストは見事!ハットトリックをお決めになったお嬢ちゃん(笑)明夜さんからのリクで
(いつもこんなしょっぱい聖地に足を運んで頂いて…ありがとうございますっ!!(感涙))
アリオスカーの小説で、『天レクで、アリオスの正体が判明してから、最終決戦、そしてその後まで』
本編うすっぺらいくせにサイドだけもりあがっちゃっててすみません!(涙)
微妙にメモワールとか、コミックスとかCDとかDVDとかのネタがひっそり顔を出してたりします。;
後編は非常にウラ聖地っぽい流れになるかと…(^^;
エトワールで清々堂々いちゃつける編、ですのでバカップルモード炸裂になると思います…

そして、超見ずらい楽譜状態になっているこの駄作を一曲に無事まとめることができるのであろうかっ!?
お待たせしてしまったにも関わらず音飛びしまくってるようなお話でごめんなさいっ!!(><)

まだ前半につめこみたいサイドストーリーもあったりするのですが、私の力はもうないわね…
状態なので、断念致しました(涙)うまいことつなげられたら
どっかにまたサイドに繋がるリンクができるかもしれません(遠い目)
とりあえず…!あんまりお待たせするのもアレなんで仮アップ、みたいな感じで(^^:
2005.5月、前半up


大変お待たせ致しましたっ!
2005.7.17 続編 up!!
気になるトロワ編アリオスサイド(笑)はオスカーサイドの後に入ってま〜す★








アクセス解析 SEO/SEO対策